さる腕

の平を下に向けて腕を前に伸ばしてみてほしい。かなりの確率で肘の関節は横(内側)を向いていると思う。しかし、割と少数派であろうが、関節内側の窪んだところが上を向いている人もいるのではないかと思う。(僕の場合、垂直との差は50度位だろうか。)要は、前腕のついている角度がかなり外向きになっているわけだが、これが「さる腕」である。なぜこう呼ぶかは、知らない。猿の方がもっと外を向いているのだろうか。

このことは、ピアノにも当然影響する。元々人間の手は鍵盤と垂直に付いており、何らかの方法で向きを変える必要はあるのだが、特に僕の場合は前腕がさらに外向きについているので、前腕だけをひねって真っ直ぐに出来る許容範囲を完全に超えているのである。この場合の解決策としては、手を傾けたまま弾いてしまう、腕を少し体から離して構える、といったことが考えられ、後者の場合は腕に角度が付くため相対的に椅子が低めになる。当て推量だが、時折小指の外側全体で打鍵しているかのように見える(特に晩年多かった)アラウや極端に低い椅子で弾いていたグールドあたりのピアニストは「さる腕」だったのかもしれない。他には、肘は体からあまり浮かせず、前腕も内転させない代わりに、「腕全体を内転させる筋肉」を使って角度を矯正することもでき、現在の僕は「傾けたまま弾く」を軸に3つのやり方を併用している。(ちなみに、ABCや音コンでTVに映った時より今の方が「腕を体から離して構える」割合が若干減ってたりします。)

対策詳説ページ
(さる腕対策を謳ってはいますが、大半がピアノの構え方の一般論です)

ちなみに、さる腕の構造上、前腕だけを真上に上げるのは難しく、どうしても腕全体の「振り」が大きくなる。僕の演奏中のアクションが大きく見えてしまうのは、この辺にも原因があるんじゃないかと思う。

関連ページ:演奏動作と音楽動作と音楽・詳説ページさる腕流構え方
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喜多宏丞HPサイトマップ